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switch point 企画展

土屋貴哉 展 「マイナーチェンジ」

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作家コメント

わたしたちは世界を自分たちのルールに従い、見たいようにいつも見ています。けれどもそれでは世界はいつも自分たちがが見たいような姿にしか見えてきません。いかにして世界の見え方を更新するか。私がおこなっていることとはその為の作業であり、目前に広がる世界に自分がどのように関わっているかを見直す作業ともいえます。
その一連の作業の中で、わたしは特別な行為を必ずしも行う訳ではありませんが、たとえそれが些細な行為であってもスケールの大きな問題を扱うことはできると思うのです。目前に無数に溢れるものの間の関係にウルトラライトに介入すること。それはときに不毛に映るかもしれませんが、手荷物は軽いほうがより深くダイレクトにこの世界を眺められるようにわたしには思えるのです。

土屋貴哉(美術家)

我々は割れている

土屋貴哉は「未来はない」という諦念を抱えながら生きてきた。なぜ、そのような思想を持つにいたったのかは知らぬが、現在は未来の過去であるから、土屋の作品は現在に常に少しずつ遅れながら、延々とほぼ八掛けの現実を問い続けることになる。 だから同じリアリズムでもシュルレアリスムほど覚醒的ではなく、スーパーリアリズムほど湿っていない。この八掛けの現実 はあまりにも現代的で人間的だ。食物に喩えれば、西武国分寺線鷹の台駅前のオリジン弁当である。オリジン弁当の小宇宙が、風景すら包含するパラディグマティックな現象群に拮抗し、超克できるのだろうか ......。ドン・キホーテ的ロマンティシズムという病の予防接種を済ませて、割り箸と楊枝の二刀流で眼下に広がる雲海のさらに先、未踏の暗黒大陸にひとまず攻め込 んでみるが、未踏であるから誰も確かな地図を持っていない。昔の文学少女なら想像力を膨らませて幻想の地図を描くであろ うし、また大人は汚いのなら十七歳の地図に頼らざるをえなくなるだろう。しかし、ここでそもそも地図を必要としない土屋 の強さが生きてくる。土屋には「外部はない」からだ。土屋の住む経験的世界だけが存在する。世界の外部がないから、世界 を対象として外から捉える認識もない。世界がない替わりに、土屋の価値と感性と知覚を共有する共同体がそこにある。土屋 の小学校時代の同級生のマミ子が雇われママを勤めるスナック「暗黒大陸」は、生まれ育った埼玉県、蕨駅西口商店街、今はシャッター商店街になってしまった通りの一本裏にある。地元に帰って時間をもてあますと覗いてみることがある。年に二回ほどである。近所なので終電の心配もなく、明け方まで飲んで唄って遊んでしまう。ところで、全ての美術家がそうであるように、土屋もまた金貸しだった(ただし、なかなか貸さない)。しかし、本人は否定するだろうが、金貸しにもかかわらず、土屋は金にルーズだ。マミ子によれば、「暗黒大陸」では、いつも羽目を外した挙句にいざ会計となると、酔った振りをしながらもばつの悪そうな顔をして自分の「作品」で勘弁してくれと言うらしい。日本であれば普通に通用する通貨「円」、あるいは蕨あたりで密かに流通する地域振興券「TAKA」ならまだしも。作品は場所だけとって「担保」にもならないから、気持ちだけもらうそうだ。もし作品が金(GOLD)のような役割を果たすのならマミ子も喜んで受け取るだろう。だが、もはや一般的に芸術作品は新宗教的信仰的尺度に担保されている。閉じた円環的無限後退の先にはもちろん出口はないし、蕨の洞穴に戻って寝るだけだ。それにしても、なぜ土屋は金を払おうとしないのか。その理由は単純である。土屋には「他者がいない」からだ。土屋にとって、私は土屋であり、土屋はあなただ。土屋の作品を土屋が定めた経路・方法以外に流通させることを土屋は認めない。土屋の作品は通貨であるが、その通貨の価値を相対化する他者がいないから、作品は担保にならない。その上、このような厳しい条件のもとでは、よっぽどの付加価値が無ければ流通するはずがないことは一目瞭然だが ......。にもかかわらず、土屋は執拗な強弁によって、日常と想像力の距離を潰す。土屋の作品の通貨としての脆さの根本原因は結局ここに帰着する。誰に求められることもなく、どこへ行くこともない、流通しない紙幣を気ままに刷り続けて三五年が経った。土屋曰く、かりそめに円の価値に換算したところ、既に日本国の借金に比肩する額に達し、まだ増え続けているという。国民一人当たり一〇〇〇万円近くとなる。誰が返すんだこの借金。しかし、あらゆる芸術作品がそうであるように、我々は割れているのである。

藤田六郎(詩人)


過去の展覧会

2007 土屋貴哉展 モデルチェンジ詳細へ

 

土屋貴哉 (つちや・たかよし) 略歴

1974 東京生まれ
2001 東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了
2002-05 東京芸術大学美術学部非常勤講師

個展

2000 「ブライダルフェア」フタバ画廊(東京)
2001 「小さく前へならえ」フタバ画廊(東京)
2002 「どうやらうっとりしているようだ」フタバ画廊(東京)
2003

「五人の観測員」フタバ画廊(東京)

2005 「書写ラブレター」フタバ画廊(東京)
2006 「タイムサービス」中崎透遊戯室(東京)
2007 「モデルチェンジ」switch point(東京)

主なグループ展

1999 「ヒルサイドウエスト ドローイング展」ヒルサイドウエスト(東京)
  「共存する空間」東京芸術大学大学美術館(東京)
2000 「アート公募企画作家選出展」SOKOギャラリー(東京)
2001 「Metabolic Expressions」東京芸術大学大学美術館(東京)
  「群馬青年ビエンナーレ」群馬県立近代美術館(群馬)
2002 「Ongoing」六本木旧三河台中学校(東京)
  「Off-Side : Football is in Our Life」gm/graf(大阪)
  「Off-Side : Football is in Our Life」横浜美術館アートギャラリー(神奈川)
  「New's 25」東京芸術大学付属陳列館(東京)
  「雨海商店」SPICA MUSEUM(東京)
2003 「act00」SPICA MUSEUM(東京)
  「meeting point」佐藤美術館(東京)
  「Camp」art planning room Aoyama(東京)
2004 「Ongoing vol.3」豊島区立旧朝日中学校(東京)
2005 「スピccafe2」SPICA art(東京)
  「ReOLYMPIC」CASO (大阪)
2006 「白と黒ってどう?」Gallery Concept21(東京)
  「桐生再演12」東洋紡織メディアサイト(群馬)
  「CET06 : フラットな世界以降の新しい美術の流れ」White House(東京)
2008 「サスティナブルアートプロジェクト」重要文化財旧岩崎邸(東京)
  「多面ミラー」日本ホームズ住宅展示場(東京)
2009 「AANチョイス! : AANアートアーカイヴ&ポートフォリオ」野毛Hana*Hana(神奈川)

開催情報

土屋貴哉 展 「マイナーチェンジ」 
2009年6月18日(木)ー6月28日(日)
11:30ー18:30(最終日ー17:00) 水曜休み

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