home past schedule about product access contact

 

past exhibition

 

switch point 企画展

冨井大裕「taking bump」 2011年11月10日(木)- 11月20日(日) 11:30-18:30 (最終日11:30-17:00) (水)はお休み

 

 

会場風景1

会場風景1

会場風景1

会場風景1

会場風景1

受け身を取る

私に作りたいものはない。しかし、作りたいという気持ちに嘘はない。主役はものや人、世界であり、私個人ではない。私がやるべきことは世界が美しく輝くようにすることだ。その為に私は受け身を取り続ける。受け身の技術と思考を磨き続ける。
美術は一人では成立しない。世界に唯一人立っていたとしても美術をするのならば孤独ではない。私が美術をすることは世界に受け身を取ることだ。世界は美しい。そのことを一人の受け身から証明すること。
受け身は受けではない。世界への信頼を前提とした背水の攻めである。

冨井大裕

※ bump:受身のこと。相手の攻撃を受ける動作を指す。プロレスには欠かせない要素。自分の身体の安全を守り、相手を引き立たせ、試合を盛り上げる効果がある。状況、 タイミング、相手の技に合わせて非常に多様で繊細な技術が要求されるのでバンプの良さがレスラーの価値を決めるといっても過言ではない。プロレスが他の興行、スポーツ と決定的な違いを持つ固有な魅力と言える。「受身を取る」ことは "taking bump" という。 ー はてなキーワードより抜粋

 

 

 きちんとした、たたずまいで置かれているモノを見て、それらが収まるべきところに収まっている、と感じることがある。別に梱包されていた箱に戻し入れるとか、整理されているというような意味ではなくて、モノがただ置かれているだけでそう感じるのは、よくよく考えるとおかしなことである。別の場所に、あるいは向きを変えて置かれてもいいはずなのに、あたかももっとも相応しい方法で置かれているように思えるのだから、何を根拠にそう感じるのか。冨井大裕の作品はおそらくそういう感じを多くの人に与えるのではないだろうか。素材の大きさや組み合わせ方が正確に決められ、その空間に相応しい方法を選びとっているように見える。


 しかし、実は実際には定められたモデュールを正確に反復していくことで大きくも小さくもできるという相反するような特徴が同時に備わっている。つまり、見ている人にとって目の前の形が唯一ではなく、可変的な可能性のなかのひとつが選び取られているにすぎない。にも関わらず、それが必然のように感じられるのはなぜなのだろうか。


 使われている素材は見慣れたありふれているものを使っている。だから別の何かを指し示している、あるいは代理しているのでもなく、それが何であるかだけが明らかにされている。モノの後ろに何かを見出そうとする努力は必要ではない。シュルレアリスムのエロティシズムや、アルテポーヴェラの抵抗の徴も、ここでは一切排除されている。言ってみれば、奥行きを欠いた、軽やかさがある。


 モノの置かれ方は他の方法で置かれていてもいいはずなのに、あたかも必然的な方法が選ばれているかのように、ありふれたモノが配置される―ここに偶然性を感じさせるなら、おそらくノイズのような要素が混じり込み、見る人の認識を別にありえた、たたずまいの方に広げていくだろう。その個別的な解釈の寛容さに抵抗して、「正確」な置き方を見つけだし、背後に何も抱えない「軽やかさ」をまとう。


 それは、別の可能性に目を向けさせることよりも、見る者の意識をいかに集中させることができるかを重視することで可能になっているのではないだろうか。

 

 注意深く見つめた末に、その眼差しは意味や解釈に絡みとられるような行き場がないため、宙吊りになるだろう。これに耐えられない人もいるかもしれない。しかし、この目的を持たない眼差しは、純粋に眼差す行為を体験させるにちがいない。見る為の目的にではなく、自分が何かを見ている、という行為に意識を向けること。おそらく「正確さ」と「軽さ」はこの注意力のために要請され、彼の作品づくりに導入されているのではないだろうか。


 だから、けっしてかたちや色の造形や使われている素材の種類などに眼を奪われてはいけない。もし、モノが収まるべきところに収まっている、と感じても整然と分類され、配置されているからではない。それはモノがまとう意味や解釈を脱ぎ去ってしまったために、モノがモノとしてだけある、本来の姿に戻っているからなのだ。それは人間が世界を解釈し、そのうえで自らを中心に位置づけてきたはずが、人間とモノとの間に保ってきた関係性からモノが逃れ出ようとしている、そんな瞬間なのだとも言えないだろうか。だからこそ今、私たちはこの体験に耐えなければならない。

住友文彦(キュレーター)

 

switch pointでの過去の展覧会

2004 「荷物 baggage」
2005 「いつものこと」詳細
2006 「出会い直し」詳細
2007 「まると四角」詳細
  「pre」詳細
2008 「みるための時間」詳細
2009 「新作展」詳細
2010 「鉛筆のテーブル」switch point(東京)
  「冨永大尚+末井史裕+冨田大彰+森井浩裕+末田史彰+森永浩尚」
switch point(東京)
2011 「冨井大裕+末永史尚「二人展」」switch point(東京)

 

冨井大裕 (とみい・もとひろ) 略歴

1973 新潟県に生まれる
1997 武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業
1999 武蔵野美術大学大学院造形研究科彫刻コース修了(修了制作優秀賞受賞)
  第4回アート公募2000審査員大賞受賞

個展

1998 「周辺のカタチ」ギャラリー現(東京)
1999 「煙の点」ギャラリー現(東京)
「見えない部屋」ガレリアラセン(東京)
「ものかたち」なるせ美術座(東京)
2000 「あけすけ」(第4回アート公募2000審査員大賞展)モリスギャラリー(東京)
2001 「ありさま」マキイマサルファインアーツ(東京)
「ある」藍画廊(東京)
2002 「隣の夢」なるせ美術座(東京)
「周辺と周縁」モリスギャラリー(東京)
「早送り、巻戻し、」ZaGallery有明(東京)
2003 「世界の真上で」art & river bank(東京)
2004 「荷物 baggage」switch point(東京)
シリーズ展「THE COVER」ZaGallery有明(東京)
2005 「仮眠的」中崎透遊戯室(東京)
「空白の作り方」U8 Projects(愛知)
CAS(大阪)
「いつものこと」switch point(東京)
2006 「出会い直し」switch point(東京)
ギャラリー現(東京)
2007 「みるための時間」武蔵野美術大学美術資料図書館・民俗資料室ギャラリー(東京)
「αMプロジェクト ON THE TRAIL vol.2」art space kimura ASK?(東京)
「まると四角」switch point(東京)
「世界のつくりかた」art & river bank(東京)
2008 「みるための時間」switch point(東京)
  「身の回りのものによる色とかたち」遊戯室[中崎透+遠藤水城](茨城)
  「企画展=収蔵展」アーカス・スタジオ(茨城)
2009 「かみの仕事」Art Center Ongoing(東京)
  「copy boy」ギャラリー現(東京)
  「新作展」switch point(東京)
2010 「 catch as catchcan 」 現代HEIGHTS GalleryDEN(東京)
  「作品展」 NADiff a/p/a/r/t 店内/(東京)
  「STACK」 NADiff Gallery/(東京)
  「ball pipe ball」 玉川大学 Tamagawa Art Gallery Projects(東京)
  「つくるために必要なこと」 金沢美術工芸大学アートギャラリー(石川)
  「鉛筆のテーブル」switch point(東京)
2011 「色と形を並べる」ラディウム - レントゲンヴェルケ(東京)

グループ展

1997
「Dramaturgie─すれ違う日常─冨井大裕×丹羽陽太郎」キッド・アイラック・アート・ホール(東京)
1998 「対話する器」ギャラリー那由他(神奈川)
1999
「存在の家─見知らぬ私のために─ 木村裕×冨井大裕」メタル・アート・ミュージアム─光の谷─(千葉)
「第4回アート公募2000」新木場SOKOギャラリー(東京)
「ほどけない神経の鍵穴」ギャラリー那由他(神奈川)
「武蔵野美術大学大学院修了制作選抜作品展」武蔵野美術大学美術資料図書館展示室(東京)
2000 「美術の星座 Constellation of Art 1998-1999-2000」なるせ美術座(東京)
  「TRANSIT/経由・帯域」(第4回アート公募2000ガレリアラセン画廊企画賞展)ガレリアラセン(東京)
  「机上の空論 丹羽陽太郎×冨井大裕」ギャラリーマロニエ/京都
  「GALERIA RASEN select 2000 Vol.2」ガレリアラセン(東京)
2001 「minimum continuation //継続」exhibit LIVE(東京)
  「GALERIA RASEN 2001」ガレリアラセン(東京)
2002 「PC展」ZaGallery有明(東京)
  「GALERIA RASEN session」ガレリアラセン(東京)
2003 「Small Works Exhibition」ZaGallery有明(東京)
  「栞展」藍画廊(東京)
  「Jin Session 2003 Vol.4 “off topic”」ギャラリー人(東京)
  「PC2003」ZaGallery有明(東京)
  「アートと暮らす新世紀4 元気の素」ZaGallery有明(東京)
2004 「conran show」OKADA STUDIO(愛知)
  「floating scale ─「スケール」を巡る旅─」学食2F(愛知)
  「space」U8 Projects(愛知)
2005 「12 DIVERS AT THE MOUNTAIN GATE」旧山口履物店(東京)
「MATERIAL MIXTURE」node cube(東京)
「芸術の山/第0合/発刊準備公開キャンプ/立体編その1」NADiff(東京)
「cat's heaven...!」gallery Archipelago(東京)
「美術の星座 2005 Constellation of Art」ギャラリーくまい(東京)
「字界へ─隘路のかたち─」長久手町文化の家(愛知)
「深川HO-BOアート2」深川資料館通り商店街(東京)
2006 「基準の技術」KABEGIWA(東京)
「色と形」KABEGIWA(東京)
2007 「ニュー・ヴィジョン・サイタマ Ⅲ 7つの眼×7つの作法」埼玉県立近代美術館(埼玉)
「pre」switch point(東京)
「壁ぎわ」KABEGIWA(東京)
2008 「BROKEN」TIME & STYLE MIDTOWN(東京)
「5×5」万国橋ギャラリー(神奈川)
「アートプログラム青梅 空気遠近法・青梅-U39」青梅織物工業協同組合施設(東京)
「ニューバランス」gallery Archipelago(東京)
「DRAWING」TIME & STYLE MIDTOWN(東京)
2009 「第1回所沢ビエンナーレ美術展 ─引込線─ 」西武鉄道旧所沢車両工場(埼玉)
「アテンプト2 矢櫃徳三・久家靖秀・冨井大裕・ジャンボスズキ」 カスヤの森現代美術館(神奈川)
「Inside Outline 冨井大裕+奥村雄樹」KABEGIWA(東京)
「変成態─リアルな現代の物質性」Vol.2 冨井大裕×中西信洋「揺れ動く物性」ギャラリーαM(東京)
「リニューアル」武蔵野美術大学美術資料図書館(東京)
「壁ぎわ」現代HEIGHTS Gallery Den(東京)
「エマージング・ディレクターズ・アートフェア ULTRA002」 スパイラル(東京)
2010 「気象と終身- 寝違えの設置、麻痺による交通」 アサヒ・アートスクエア(東京)
「秋田県大館市アートプロジェクト『ゼロダテ/大館展 2010』」 大館市 大町商店街(秋田)
「間戸/WIND-OW」 MA2 Gallery(東京)
「柳瀬荘アート・教育プロジェクト」柳瀬荘(埼玉)
「近藤恵介・冨井大裕 あっけない絵画、明快な彫刻」
Gallery Countach Kiyosumi(東京)
「冨永大尚+末井史裕+冨田大彰+森井浩裕+末田史彰+森永浩尚」
switch point(東京)
2011 「A POSSIBLE DIMENSION」PANTALOON(大阪)
「MOT アニュアル 2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」
東京都現代美術館(東京)
「冨井大裕+末永史尚「二人展」」switch point(東京)
「彫刻・林間学校 アースバウンド」メルシャン軽井沢美術館(長野)
「新しい立体造形:冨井大裕+照屋勇賢」旧ウォーク館(前橋市美術館建設予定地()群馬)
「横浜トリエンナーレ 2011 OUR MAGIC HOUR 世界はどこまで知ることができるか?」
横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(神奈川)
「呼びとめられたものの光」名古屋ボストン美術館(愛知)

コミッションワーク

2008 日吉の家[設計 田中裕之建築設計事務所](神奈川)

作家ウェブサイト

開催情報

冨井大裕「taking bump」
2011年11月10日(木)- 11月20日(日)
11:30-18:30 (最終日11:30-17:00)
(水)はお休み